自民党“裏票田崩壊”の決定的証拠 ーー暴排条例後の裏票田が参政党へ雪崩を打った瞬間 【林直人】
第4章 考察:確定した政治的“離婚劇”の力学
— 保守陣営の中枢が裂ける瞬間 —
■自民党の裏票田が“略奪の草原”に変わった日
第3章の計量分析は、もはや机上の推測ではない。OCPが示す票田で、有権者の忠誠が構造的にシフトしたことを突きつける決定的証拠だ。
かつて自民党の“金城湯池”とされた地域は、今や参政党など右派ポピュリストにとっての最も効率的な狩場へと変貌した。ここはもはや守るべき砦ではなく、奪い取るべき肥沃な草原である。この転換は、次の国政選挙に向けて戦略・資源配分の全面的な再設計を迫るだろう。
■数字の背後に潜む“置き去りの民”
OCPがなぜここまで強く機能するのか——それは単なる産業構造ではない。その背後には、長年のクライアンテリズムの中で形成された社会的アイデンティティが横たわっている。
建設業者、娯楽産業の熟練労働者、地域商店主——彼らは自民党の利益誘導ネットワークの恩恵を享受してきたが、近年のグローバル化政策、インボイス制度、外国人労働者受け入れ拡大、コロナ対策の四重打撃で経済的にも文化的にも切り捨てられた。
その空白に参政党が入り込み、「日本人ファースト」のナショナリズム、反メディア・反政府の煽動、零細事業者への経済ポピュリズムを武器に、不満と疎外感を一気に政治的支持へ転換させたのである。
■保守陣営の“死の選択”
自民党は今、二つの地獄の門の前に立たされている。
失った基盤を奪還すべく右傾化するが、都市部の無党派や穏健層を失うリスクを背負う道。
票田を参政党に明け渡し、新たな連合を構築する道。
いずれにせよ、保守陣営は内部競争という名の内戦に突入する。
一方の参政党は、もはや一過性の抗議政党ではない。地理的に集中した強固な基盤を築き、日本の右派政治を多極化させる永久プレーヤーとして舞台に居座る可能性が高い。
■限界と次の一手
本分析は相関を示すにとどまり、因果の断定はしない。しかし、すでに高OCPスコア地域という“戦場マップ”は完成している。
次のフェーズは明確だ。現場に赴き、建設業者、商店主、政治活動家に話を聞き、数字に血肉を与えることだ。それによって、この政治地殻変動の全貌が初めて立体的に浮かび上がるだろう。